労研の当面のテーマ=最賃と今日の情勢・労働運動の役割

2022.11.14 
梶哲宏(全労連・全国一般東京地本副委員長)

1.暮らしを振り返り、政治の無責任をどう捉えるのか
(1)生活を考えるとき、いよいよ“食べて生きるのにもやっと”という現状に追い詰められている。現状の生活を維持するだけでも、衣・食・光熱、日常出費は、10%~15%の値上げが直撃している。固定出費の住宅費は、直ぐには値上がりしないが、その他は全て値上げが先行しており、住居費を除く可処分費用が、10~15%出費増(税込み30万円なら手取り21万円のうち、家賃を仮に8万円とすれば残金13万円の可処分生活費が、今後は15万円近い出費になりつつある。)従って30万円の人が、今の生活状態を維持するには、7%賃上げ=2万円での引き上げでも現状を一瞬維持できるだけで、春以降更に値上げが予想され苦しくなる。故に物は売れない、不況が必死となり≒スタグフレーションで生活は破綻に向かう。
(2)原因は賃金を抑え、要求に応じない使用側の責任は当然ながら、真の生活破壊の原因を見ることである。
第1は、政府の支援の下に大資本・大企業は、物価値上げで大もうけを続け、商社は率先して、円安による輸入原価を“自由競争原理主義”で自在に転化し、高利益を維持していること。(公共料金の規制は緩和)
第2は、
イ)政府が今日のような大企業製品、輸入品の値上げは自由に放置され、物価抑制策など規制策をとらず値上げ自由の政策をとる。
ロ)日本社会の貧困を作り出している原因(低賃金構造で万年消費不況)、すなわち生活への賃金配分を増やさない大企業支配の促進。(アベノミクス=企業の自由の保障)
ハ)中小企業や地方地域の疲弊、生活者の貧困化○○が地方の衰退、○○○の貧困か=低賃金政策をとり続け、日本経済の地位が低下している=円安を放置(規制緩和で大企業が儲け放題、国民は負担増) その結果円安は当然すすむ-例えばアメリカは1時間働いて1,600円~2,000円相当の石油が買える。(大卒採用賃金は47万円。日本は1時間働いて石油が961円分しか手に入らない。(大卒新採用22万円)という国際取引市場での劣勢の下にある。(国内の自然エネルギー開発を進めていないので、石油エネルギーを調達するために為替レートに左右される)日本の財貨が安く海外に流出し、高くなった資材を日本へ輸入する中で、生計費はひたすら増大する。
第3は、政府の国民生活支援の無策の中で
イ)国民への緊急支援措置の実現は急務、コロナ禍の支援金は少額でしかも後手まわりだった。しかも財源は国債の増発という国民の借金でまかなう。
ロ)大企業への適正な課税で財源を確保すべきであり、国民や中小企業の事業支援に回すべきだがそれをやらず、更に消費税の増税を企む。
ハ)大企業にだけ儲けが集中するという規制緩和政策で、公による不公平の是正のための再配分は自由競争の名の下に捨て去り、強き者に与え弱き者に中小や地方、労働者・国民は低賃金・定収入に苦しむ。その結果、日本経済は停滞と云う構造が出来上がって来た。
すなわち大企業に内部留保500兆円の溜め込み分を、投資・経済循環に組み入れさせることが出来ず、蓄蔵が進み投機資金は個人投資資金14兆円といわれたものが確実に大きくなっているだけである。その反面、日本企業の国際的地位は低下、証券市場もかつて東京取引所が世界2位と言われたが今や4位へ後退。そして今、円安が急激に進み日本経済自体が地位を後退させているばかりである。- 大企業にこれを自力で脱却する調整能力は無い。

2.困難の打開に向けた今後の政策のあり方を考える
(1)コロナ(COVIT19)は、B1、B1.1、等の変異株の感染拡大は必死で、東南アジアにはBX変異株という第八波に入る。
こうした中で、健康と生命を守るには、政府への責任追求の手を緩める訳にはいかない。
① 感染対策と保健衛生、生活支援対策
② 医療労働者への支援措置と医療事業への支援・助成
③ 医薬開発などの研究や大学・研究機関での基礎的研究をないがしろにする、今の政策を転換させること
(2)経済と国民生活の打開の取り組み
特に弱者が追い詰められつつ、多くの人々が貧困化する中で、社会問題となっている矛盾への緊急対応。
①一人親家庭の貧困、健康・生命の不安、子どもの生存権と未来にわたる人権の確保
②年金者、高齢者の物価高に伴う貧困化と、健康、生命、日常の生活の面での危機と不安が深刻化
③2,000万人以上(労働者の40%以上)が、日常の失業と半失業の不安、極貧、住居喪失の荒波にさらされているが立ち上がれない
④生活の基盤を未だ作り得ていない青年層全般が、低賃金を基本にされて社会に置かれる。諦め気味に受け止めざるを得ないといる層への呼びかけ、働きかけが緊急テーマ。「オカルト」や「右翼専制主義」などが台頭する中での、新たな危険。
(3)学校、大学、研究機関の危機と頭脳流出の危機
①私大教連などは、文科省要求行動等が取り組まれている反面、各方面バラバラな状況にある。
イ)国立大学法人では「交付金削減」「大学ファンドによる営利活動への誘い」「人員減や雇い止め、定年再雇用打ち切り」「有期雇用拡大」-などで、「電力料金大幅引き上げ」もこれに追い打ち
ロ)学生は、大学卒業後に初任給が大企業正社員でも“21万~23万円(韓国では30万)”奨学金やローン返済は月3~5万円と云う状況下で、独立生計のメドも立たない。
ハ)有期雇用大学職員は、生活の困難。学生と同じレベルでの貧乏生活と失業不安の状況にある。学生はアルバイト収入の喪失不安や、生活の困窮。授業料納入の困難が増し、仕送り減少やストップに直面し、学生生活は危機にある。
②小中学校では、栄養を考える食事が取れてない子ども、食事抜きの登校など、学級35人の中( )人位が親の貧困の下で、まともな子ども時代を過ごせていない。その他に口腔衛生や健康管理が後手に回り、身体が壊れそうになってから、追い詰められ健康障害が内在する見えない貧困の広がり。
 家に学習スペースが無く、TVや生活音の雑踏の中で、自分の居場所も学習場所も無い子ども、他方では学習塾に入り浸り、かろうじて学習空間を得る反面、家庭生活から切り離され、他方には学習放棄、一部は不登校等への流れ
(4)こうした中で急ぎ対置すべき要求 
※ 社会保障一般を考える方法ではなく、今すぐ必要な最低限保障の措置は何であるか要求化し共同を目指す①働けば誰でもどこでも最賃時給1,500円「月25万円」の保証を求め、最賃法改正を目指す。
※ 支払い可能な経済条件を、中小企業・地方地域産業へ、国が支援阻止をとることで、転換させる
②年金は切り下げ中止。物価スライドでの引き上げ。無年金を無くし、最低保障制度を作る。高齢者を支える緊急措置
③一人親家庭の子ども、貧困家庭を含む 養育手当を今すぐ月7万円を
イ)最賃1,500円の下では、月10万円を支給させる
ロ)一般家庭の子どもも、今すぐ2万円。最賃1,500円実現後は5万円を支給させる
④小中高校の学費無償化と、給食教材費の国負担
⑤大学、研究機関の危機打開緊急策
第1に…研究者・教員の
イ)最低賃金は、( )万円以上とし
ロ)助教は、最低年収700万円など
第2に…大学への支援助成負担の充実
イ)私大への助成の強化
ロ)国立大学の必要経費90%は最低国が確保する
ハ)研究機関、大学研究室などの非正規雇用(有期雇用)を基本的には、直ちに無期転換し、正規雇用を中心とする体制に改める
ニ)電気料金は、特別料金として政府が負担の軽減を図り、電力会社に協力を求める
ホ)奨学金制度の充実へ向けた改善

3.日本の経済、社会の立て直しに向けて
(1)税財政の国民本位の改革により、赤字国債依存の脱却と社会的不公平の是正
1)今すぐ行うべき措置
①大企業の内部留保への臨時的課税で政策財源を作る
②消費税を緊急に5%へ引き下げる

2)続けて進めるべきこと
①輸出大企業への消費税割り戻しなど優遇阻止を止める
②大企業・大銀行などの金融機関、富裕層への税の優遇を止め、逆累進で社会に還元する
③道路、鉄道、その他のインフラ維持のために、政策を総合的に組み立てる
道路財源の税制検討にせばめず、国税や料金制による負担、自治体負担など総合的に将来へ向けた対応政策をたてること。(ガソリン税がEV化の下で無くなっていく)ローカル線の過疎による、一時的な利用減への対応をインフラ存続維持発展の方向での政策の流れを堅持して、どう財源対応するか定めていく

(2)中小企業と地方・地域の企業、産業について
国全体で、どこに住んでも生存権が保障され、地方都市のバランスがとれた発展がすすむように…
①国土の活用と環境保全。持続可能なインフラの維持、更新、新設は政府・民間協力の中で整合的に計画
②衣食住の生存の基盤確保と、医療・教育・学術科学研究、文化・娯楽・芸術・体育・スポーツなどの総合発展へ向けて
イ)国民参加型の検討会議の設置
ロ)国と自治体による、投資計画を総合的に企画
③中小企業・地方地域産業の保護、支援、助成に繋がる政策への投資
④生命の源としての
イ)食料の安全と時給の強化
ロ)エネルギー源の確保については、自然エネルギーの開発を基本戦略とし、電力源としての生産水素の燃料化への研究開発にも力を注ぐ
※以上のような政策を進める中で、実現させていく道筋を整理していきたい。

4.2023年春闘で労働組合が負うべき役割について
(1)日本社会全般に貧困化と生活苦難が広がる中で要求の実現めざし「原因迫る」行動を起こす
1)今、持っているエネルギーと闘い得る限りの力を集中し「共通の要求で」枠を超えた労働組合の共同(官民など)の共闘を軸に、“国民各層の要求と結合”する賃金引上げ世直し“の統一戦線型の行動を目指す
①労働者の要求の柱=賃金要求の―――の統一点は「生存権としての最低賃金」月25万円要求であり―――年収300万円以上の保障を「法改正で」支払い能力という賃金抑制枠をとり払うことで実現をはかる-----「政府厚労省へ」
②統一要求としての最賃要求をテコに、大卒新規採用賃金は(初任給)は25万以上とすることを求める―――「経団連・文科省へ」
③一人親家庭の子供の権利(生存権と人としての期待未来権)に関する要求〔25万円×0.4(等価可処分所得ケース)=10万円〕を実現=政府〔厚労省〕へ要求
※現行最賃の下では「東京の時給1,071円の月例額を基準に×0.4=月7万円を直ちに支給させる
2)年金者に対する(切り下げの即時中止と切り下げ分の回復)(物価上昇をスライドさせた引き上げの変更)(最賃の子育て相当の10万円基礎にした最低保障年金制度を新設する)=政府・厚労省へ
3)国民生活の苦難に向けた制度政策の要求の4つの柱
①小中高の学費無償化と大学への“私学助成強化”「国立大学の政府負担90%を下限すること」求め…政府、文科省へ求める。電力料金負担を大学、研究機関、病院に対しておこなわせる…「電力会社・政府・文科省・厚労省」
②中小企業、地方・地域と農業への政府による支援強化、地域の健康、衛生医療を担う病院等、医療機関保健所等への経費の投入、医師・看護師・職員の働く条件の改善。生活と時間の支援策を行い事業への助成を強化する。農産物価格の保障を“最低賃金並みの自営者労賃をカクホしうる価格となるよう保証制度を確立する。
③公務労働者への処遇を先進国での国際水準に近づくように賃金時間外労働改善を進め(非正規職員を)無期転換しつつ早期に正規雇用に切り替え公務員労働者との差別解消。政府自治体労働者の公務との賃金格差は80%以上の幅に制限を設け順次公務労働へ戻す。
④消費税5%へ切り下げ「大企業の内部留保への課税の実施を財源にし『国民の為の臨時的緊急の税制改革を実施』し、赤字国債の増発と無定見なばらまき策はやめること、その上にたって本格的税財政の改革を目指す
(2)労働組合の統一行動と国民総行動の企画
①2~3月労働組合の統一集会、統一行動の中で要求の共通点を打ち立てる
②3月末~4月初め、1日わたる「官民労働者の共同行動を軸に国民各層との共通要求を最賃賃金要求と結合して企画する
③業者の確定申告ののち、農家の田植え時期の開始前に労働者国民の共同行動を…統一地方選挙の取り組みの最中に政策的に行動を立ち上げ政策宣伝をおこなう